安全性と治療のリスク・限界及び注意事項
  1. オサート/オルソケラトロジーの診療は、治療に用いるレンズを繊細にデザインする技術が主体になります。したがって、その診療費はレンズ自体にかかわるものではなく、レンズをテイラーメイドにカスタマイズする技術料として位置づけられます。
  2. 効果を維持するために、治療用レンズは基本的に毎晩装用する必要があります。
  3. 夜間装用に適切な酸素透過性を維持するためのレンズの耐用年数はおよそ3年です。3年を経過した後も治療を継続する場合にはレンズを更新する必要があります。喫煙者においては角膜細胞への酸素供給が妨げられます。
  4. レンズのケアに関しては、洗浄・保管・装用方法などにおいて、通常のハードコンタクトレンズと同様のケアが必要となります。角膜炎や結膜炎などの感染症を防ぐために、保存液は毎日交換してください。またレンズの酸素透過性を保つために1週間に1度程度の頻度でタンパク脂質溶解剤等を用いて洗浄する必要があります。
  5. レンズが眼球の中央部に適切な型付けを行うためには、レンズが角膜の中央部に位置することが必要です。そのためには適切な瞬目や適切な就寝姿勢が求められます。横向きやうつ伏せで寝る癖があったり、枕に眼を強く押し付けたりするとレンズがずれて正しい矯正効果が得られない場合があります。
  6. 治療に用いるレンズは矯正効果を生む多段階カーブなので、レンズ自体に段階的なゆがみが生じます。無理な力が加わったり強い衝撃が加わったりすると、通常のレンズ以上に割れ易いので、繊細に取り扱う注意が必要です。
  7. 強いアレルギー反応などで、まれにレンズに不耐性を示す場合があります。抗アレルギー薬の点眼などでも症状が改善しない場合には、治療を中止するケースもあります。また花粉症などの時期に強いアレルギー症状が出てレンズの装用が困難になった場合には、その期間のみレンズの装用を中止したりする工夫が必要です。
  8. 治療当初はまだ視力が不安定なため、自転車・バイク・自動車等を自ら運転しないでください。特にトンネル内や夜間など、暗い環境での運転においてはグレア効果で光が散乱されて見える場合もあるので、眼鏡等で矯正することを心がけてください。夜間の運転時のみ治療用オルソKレンズを装用しての運転も薦められます。
  9. 強度乱視、強度近視の方の場合、矯正段階においては残余乱視や視力不足などにより、視力の不安定な状態が更に続く場合もあります。このような時には必ず適切な眼鏡やソフトコンタクトレンズで日中視力を補ってください。特に治療当初に角膜形状が安定する過程で乱視を強く認識することもありますが、通常1ヶ月くらいがピークで、その後徐々に減少していくのが一般的です。ただし治療開始前の乱視度によっては軽度の乱視状態が継続して残存することもあります。
  10. 治療後しばらくはコントラスト感度が低下してにじんだように見えたり、白っぽく見えたり、薄く書いてあるものが見にくかったりします。また朝レンズを外した後に角膜形状は徐々に戻っていくので、夕方には多少視力が落ちる場合もあります。これは当初の近視や乱視が強いほど起こりやすい傾向がありますが、治療をステップアップして矯正治療が進むにつれて、朝と夕方の見え方が安定してくるのが一般的です。
  11. もともと涙液の量が少ないような場合、ドライアイの症状(目が乾く、かすんで見える、充血が強い)が出ることがあります。涙の分泌を高めるために、意識的に完全な瞬きをすることを心がけたり、温湿布などで涙腺を温めたりする工夫が効果的です。また症状によっては治療用点眼液の処方により症状は改善されます。強度のドライアイに対しては、更に涙点プラグの挿入など本格的な治療も検討します。
  12. もともと人間の視機能は、暗所や夜間で低下しますが、この傾向が増強する場合があります。すなわち暗所や夜間で、ハロー(明るい光の周囲に輪状のモヤがつく)、グレア(夜間の照明がまぶしい)、スターバースト(光が放射状に広がって見える)が生じ、昼間の明るい状態より暗所や夜間など暗い状態での見え方が劣ることがあります。同じ昼間であっても、明るい屋外より暗い屋内において同様の症状が出る場合もあります。これには個 人差が大きく、全く自覚しない人もいれば、治療当初から強く感じる人もいます。一般的にはこの症状は徐々に薄れていきますが、症状が長期化する場合にはレンズサイズを変更したりして対応します。
  13. 裸眼での運転が可能な視力は0.7ですが、仮に0.7の視力が得られても、実際の運転時には安全を確保するためにバックアップ用としての眼鏡やコンタクトレンズの用意を心がけてください。裸眼視力が向上して最終的に生活に支障の無い視力が得られた場合でも、就寝時間が短かったり夜間装用中にレンズがずれてしまった場合には翌日の視力が安定しませんから、十分な用意が必要です。
  14. もともと人間の目の状態は左右で同一ではありません。左右の見え方のバランスは効き目の状態にも依存します。治療によって左右のバランスが不均衡になる場合など、視力や全体の見え方に左右差が出ることがあります。このような場合にはレンズデザインを変更して対応しますが、微妙な左右差は残る可能性があります。また、角膜の硬さ・形状等により効果には大きな個人差が生じます。
  15. オサート®/オルソケラトロジーには近視の進行を抑制する効果がありますが、実際の抑制の程度には大きな個人差が生じます。また、近視の進行には成長に伴う要素(軸性近視)もかかわるので、成長期においては一旦視力が改善しても再び近視化することがあります。その場合にはレンズをステップアップして、進行した近視分を補う必要があります。現代社会においてはTVやPC・ゲーム機の影響など、近視を進行させる要素に満ちているので、仮に十分な視力に到達した後であっても、近視を進行させないための一般的な努力は必要です。
  16. 40才代以降から治療を開始する場合、裸眼での遠見視力の向上に伴って近見視力が低下する場合があります。これはいわゆる老視(老眼)の影響です。この場合、もし遠見視力を優先させたいのであれば、そのまま近視治療としてレンズのステップアップなどを進めていきます。ただしこの場合、近見時には遠視用眼鏡(いわゆる老眼鏡)が必要になる可能性があります。もし老眼鏡をかけるのを避けたい場合には、近見視力と遠見視力とを程よくバランスをとるレベルを治療の目標にしてレンズデザインに反映させます。このような工夫は50歳代、60歳代と年齢を重ねるに従ってより一層重要になります。仮に若年から治療を継続していて30歳代までに良好であった視力が、40歳代以降に近見視力の問題を生じた場合にも上記の概念で対応していきます。
  17. 角膜形状が扁平化するのに伴い、眼圧の測定値が見かけ上3~4mHg程度低下します。したがって緑内障や高眼圧症の状態で治療を進める場合は、通常より低い眼圧を目標にする必要があります。
  18. 将来、白内障手術やLASIKなどの屈折手術を行う場合、オサート®/オルソケラトロジー治療を受けていることを、手術の担当医に告げてください。いずれの手術もオルソK治療を受ける以前の屈折状態に戻した状態での診察が必要となるので、上記の手術を受ける場合にはオサート®/オルソKレンズを1ヶ月以上使用しない状態での診察が求められます。
  19. ソフトコンタクトレンズを長期装用してきた場合、酸素透過性の減少による角膜内皮細胞の障害がすでに生じている可能性があります。このような場合であっても、治療に用いるオサート®/オルソKレンズは、夜間装用可能な酸素透過性に極めて優れた素材を用いるため、更なる角膜内皮障害が進行することはありません。ただし、適切な装用条件を守らない場合においてはこの限りではありません。また耐用年数を遥かに超えて連続的に使用した場合にも、レンズの酸素透過性が低下して角膜内皮障害に及ぶ可能性があります。
  20. 一般的に通常のハードコンタクトレンズを昼間装用する場合における代表的合併症として、以下のものが挙げられます。オサート®/オルソKレンズも素材はハードレンズなので、基本的には通常のハードレンズが内包するリスク及び合併症については、全く同様に生じる可能性があります。角膜炎・結膜炎などの感染症リスク・角膜びらん、角膜潰瘍・上皮下混濁・アレルギー性結膜炎・不正乱視・レンズの破損による角膜障害ただし、医療一般において、全ての合併症を事前に把握することは不可能です。本説明承諾書に記載された問題や併発症以外のことが起こりうることを十分にご了承下さい。
  21. 治療が奏功して裸眼視力が向上した後であっても、上記の合併症や予期せぬ合併症が生じて、医師の判断により治療の中止を勧告する場合があります。また、天変地異・災害・事故など、治療院や主治医の状況によっては、治療の経過中であっても、治療の継続が困難になる場合もあります。